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徳川美術館「国宝源氏物語絵巻」

 
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名古屋市東区にある徳川美術館で開催中の特別展に出かけた。
 
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徳川美術館蓬左文庫開館80周年記念 特別展 
全点一挙公開 国宝 国宝源氏物語絵巻

 
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 国宝「源氏物語絵巻」は、紫式部が著した『源氏物語』を抒情的な画面の中に描き出した、日本を代表する絵巻です。『源氏物語』の絵画化は、その成立当初間もない頃からおこなわれていたとみられているものの伝わっておらず、本絵巻は現存する作例としてはもっとも古く、12世紀前半に白河院(しらかわいん)・鳥羽院(とばいん)を中心とした宮廷サロンで製作されたと考えられています。

 当初は『源氏物語』全帖を一具として絵画化が試みられていたとみなされていますが、現在、尾張徳川家伝来の蓬生(よもぎう)、関屋(せきや)、絵合(えあわせ)、柏木(かしわぎ)一~三、横笛(よこぶえ)、竹河(たけかわ)一・二、橋姫(はしひめ)、早蕨(さわらび)、宿木(やどりぎ)一~三、東屋(あずまや)一・二の9帖15段分の詞書と絵、および絵が失われ詞書のみが残る絵合の1段が名古屋・徳川美術館に、阿波・蜂須賀家に伝来した鈴虫(すずむし)一・二、夕霧(ゆうぎり)、御法(みのり)の3帖4段分の詞書と絵が東京・五島美術館に所蔵されています。これらを合わせた13帖分と、諸家に分蔵される若紫(わかむらさき)・末摘花(すえつむはな)・松風(まつかぜ)・薄雲(うすぐも)・少女(おとめ)・蛍(ほたる)・常夏(とこなつ)・柏木(かしわぎ)の詞書の数行の断簡、および後世の補筆が著しい若紫の絵の断簡(東京国立博物館蔵)を含めた20帖分が、900年近い星霜を経て現在に伝えられています。

 絵は、墨描きの下図を描き、構図に微妙な修正を加えながら彩色を施し、さらに顔の輪郭や目鼻、あるいは衣や調度の文様を描き起こす「作り絵」で、一線のように引かれた目、「く」の字状の鼻、ぽつんと点じられた小さな口で面貌を表現する「引目鉤鼻(ひきめかぎはな)」や、屋根を取り去って屋内の情景が覗き込めるように描く「吹抜屋台(ふきぬきやたい)」などの描法により、『源氏物語』の世界を余すところなく伝えてくれます。詞書・絵ともに現存する19段のうち11段は、詞書中に和歌を含み、さらにこのうち六段は登場人物間にかわされた贈答歌を中心に場面が選ばれているので、物語の行間に込められた抒情性や登場人物の心の綾までもが巧みに描き出されています。

詞書は、11世紀以来の伝統を引き継ぐ美しい連綿体(れんめんたい)で書きつづられた流麗な書風や、自由奔放で肥痩にとみ、側筆の重厚で力強い藤原忠通(ただみち)(1097~1164)にはじまる法性寺流(ほっしょうじりゅう)の書風など、当時の新旧の書の様式が混在しています。また詞書に使用された料紙には美麗な装飾が凝らされており、絵・書と一体となって王朝人たちの美意識を伝えてくれます。  ~徳川美術館 HPより~

国宝に指定されているの源氏物語絵巻平安時代、12世紀前半に制作されたものとされ、この徳川美術館と東京都世田谷区にある五島(ごとう)美術館の2館で所蔵とのこと。
徳川美術館では、毎年このぐらいの時期に国宝の源氏物語絵巻を数点ずつ公開しているが、西暦で末尾が5の年につまり10年に一度、五島美術館所蔵の国宝の源氏物語絵巻もあわせて全点公開しているそう。
ちなみに、五島美術館でもやはり西暦で末尾が0の年に10年に一度、徳川美術館所蔵の分とあわせて公開されているよう。
5年おきに徳川美術館五島美術館の交代で公開していることになる。
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この展覧会が始まる直前に、最新の赤外線調査により制作過程が判明したとテレビや新聞でこぞって報道されていたのも影響しているのか大盛況の様子。

 
当日券購入行列がエントランスの外までできており、さらに、、、
 
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待ち時間 120分 !!!
 
会期も残すところ数日となり、平日の午後2時過ぎ、たいへんなことに。
警備員サンに伺ったところ、開館1時間前の9時にはすでに行列ができているんだそう。
 
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特別展の展示室は後回しにし、名品コレクションから鑑賞することに。
 
こちらはガラガラで。。。
 
源氏物語展にあわせて、源氏物語にゆかりのある展示物も多く展示されており、見ごたえがある。
今年4度目の来館だが、毎回「はじめまして」の展示物ばかり。想像がつかない膨大なコレクションなんだろう。
多くの人はこちらの鑑賞は省略するよう。もったいない。。。
数多く展示されているので、国宝、重要文化財だけは見逃さないよう確認しながら鑑賞する。
 
印象に残ったものとして、
 
第1展示室(武具・刀剣)
とても目を引く大胆な意匠の豪華な羽織。派手好き?といわれる宗春らしい。
<国宝> 太刀 銘 光忠 徳川綱吉(5代将軍)下賜 徳川綱誠尾張家3代)拝領 13世紀(鎌倉時代
重要文化財> 刀 無銘 郷義弘 名物 五月雨郷 黒田長政徳川秀忠(2代将軍)ほか所持 14世紀(鎌倉時代
 
銃・ピストル類も多数展示。アメリカの南北戦争(1861-1865)が終わった後、中古品が多数流れてきたんだそう。
 
第2展示室(茶の湯
明正天皇仮名消息 大納言宛 17世紀(江戸時代)
明正天皇後水尾天皇の第二皇女。母は二代将軍徳川秀忠の娘・東福門院和子。称徳天皇以来859年ぶりの女性の天皇。とても流麗な文字。
 
第3展示室(書院造)
忘却…
 
第4展示室(能)
紅・萌黄・白・黒段唐草に扇文唐織 17世紀(江戸時代)
遠目からも目を引く豪華な能衣装。源氏物語の夕顔がモチーフとのこと。
 
第5展示室(奥道具)
<重要文化財葉月物語絵巻 第2・第3・第5段 詞伝後二条天皇筆 絵12世紀 詞14世紀
こちらも平安時代の絵巻。葉月物語というのは現存する部分から恋愛物語とわかっているが物語のあらましは現代に伝わっていないそう。
 
蓬左文庫 (源氏物語の世界-平安の恋物語-)
 
紫式部によって著された『源氏物語』は、成立以来愛読され、数多くの写本が作られました。この転写の過程でさまざまな異本が生じ、藤原定家(1162~1241)によって校訂された青表紙本系、源光行(1163~1244)・親行(生没年未詳)父子の校訂による河内本系および、これらに属さない別本系に大別されています。本展覧会では、肥前平戸家に伝来した別本系の「源氏物語松風」をはじめ、藤原定家の青表紙本系の重要文化財源氏物語早蕨」や三条西家本などの青表紙本、河内本系の最古写本であり、近年の研究で光行・親行父子が校訂のために用いた本であることが判明した重要文化財「河内本源氏物語」など、『源氏物語』の代表的諸本を展示します。また国宝「源氏物語絵巻」に次ぐ現存二番目に古い「源氏絵」として知られる重要文化財源氏物語絵詞」、土佐光則筆「源氏物語画帖」など絵画化された『源氏物語』の諸作品を合わせて展示し、その享受の歴史をたどります。  ~蓬左文庫 HPより~
重要文化財源氏物語絵詞 伝冷泉為相筆 13世紀(鎌倉時代
源氏物語図屏風 六曲一双 17世紀(江戸時代)
 
源氏物語にちなむ銘の香木なども。
紅葉賀・花散里・須磨・浮雲・初音・浮舟・桐壷・花の宴・野分
どんな香りなのか想像が膨らむ。
 
もっとゆっくり鑑賞したいが、肝心の国宝源氏物語絵巻鑑賞行列に午後3時に加わる。ほんの少し行列が短くなっており、80分程度の行列で企画展展示室に。
 
展示室の壁側をぐるっと物語順に国宝源氏物語絵巻の展示。
中央に近年・現代の模写を展示。
 
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   源氏物語絵巻 若紫 絵断簡 一幅 東京国立博物館
   源氏物語絵巻 若紫 詞 断簡 一葉 個人蔵
国宝 源氏物語絵巻 蓬生 詞二面・絵一面 徳川美術館
国宝 源氏物語絵巻 関谷 詞一面・絵一面 徳川美術館
国宝 源氏物語絵巻 絵合 詞一面 徳川美術館
   源氏物語絵巻 少女 詞断簡 個人蔵
国宝 源氏物語絵巻 柏木一 詞二面・絵一面 徳川美術館 
国宝 源氏物語絵巻 柏木ニ 詞四面・絵一面 徳川美術館
国宝 源氏物語絵巻 柏木三 詞一面・絵一面 徳川美術館
国宝 源氏物語絵巻 横笛 詞一面・絵一面 徳川美術館
国宝 源氏物語絵巻 鈴虫一 詞二面・絵一面 五島美術館
国宝 源氏物語絵巻 鈴虫二 詞二面・絵一面 五島美術館
国宝 源氏物語絵巻 夕霧 詞二面・絵一面 五島美術館
国宝 源氏物語絵巻 御法 詞三面・絵一面 五島美術館
国宝 源氏物語絵巻 竹河一 詞二面・絵一面 徳川美術館
国宝 源氏物語絵巻 竹河二 詞四面・絵一面 徳川美術館
国宝 源氏物語絵巻 橋姫 詞二面・絵一面 徳川美術館
国宝 源氏物語絵巻 早蕨 詞二面・絵一面 徳川美術館
国宝 源氏物語絵巻 宿木一 詞一面・絵一面 徳川美術館
国宝 源氏物語絵巻 宿木二 詞一面・絵一面 徳川美術館
国宝 源氏物語絵巻 宿木三 詞二面・絵一面 徳川美術館
国宝 源氏物語絵巻 東屋一 詞二面・絵一面 徳川美術館
国宝 源氏物語絵巻 東屋二 詞一面・絵一面 徳川美術館
 
今回の注目は柏木三の下書き発見。パネルの展示がある。
赤子の手の位置でずいぶん心情が変わるものだと感心。
再度他のヒトの肩越しに柏木三を確認したが、こんな下書きの跡はまったくない。あたりまえか。
 
それにしてもなんといっても900年前のもの。よくぞこの現代まで残っていたものと思う。
 
80分待って鑑賞し始めたが40分ほどで閉館時間に。館内にはまだたっくさ~~んの人。
 
外はすっかり暮れている。
 
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