昨日、愛知県美術館で開催中の「ライデン国立古代博物館所蔵 古代エジプト展」を鑑賞してきた。
前回、愛知県美術館に出かけたのは1月。
「コートールド美術館展」とてもよかったので、もう1回出かけようか迷っていたら会期途中の3月1日で中止に。がっかり。
その後の「大浮世絵展──歌麿、写楽、北斎、広重、国芳 夢の競演」は4月3日から開催されたが2日後の4月5日で中止になっていた。びっくり。
今年は新型コロナウイルスの影響で急遽中止、延期になる展覧会が多かったが、無事開催されてよかった。
ライデン国立古代博物館はオランダにある博物館。
オランダ王国の初代国王ウィレム1世によって1818年に設立。
17世紀前半にライデン大学が所蔵していた遺物を基盤としたエジプト・コレクションは現在約2万5千点。そのうち約250点が来日とのこと。
なんでも所蔵するエジプトコレクションはヨーロッパ5大エジプトコレクションのひとつなんだとか。
他のヨーロッパ5大エジプトコレクションってどこなんだろうと思って検索してみたところ、大英博物館、ルーヴル美術館、ベルリン・エジプト博物館、トリノ・エジプト博物館なんだそう。
音声ガイド(600円)のナレーターは声優の森川智之さん。
トム・クルーズやキアヌ・リーヴスの吹き替えを担当している人なんだそう。
今回の音声ガイドは途中に3問クイズがある。
ガイド機は昔のケータイみたいな外観で、液晶部分にアニメが表示されることも。
音声ガイドも進化していますな。(値段も進化しているケド。)
平日の午後2時ごろ、愛知県で開催される展覧会としてはそこそこ人が入っている気がする。
展示物を一番良い位置で鑑賞するには少し待たなくてはいけない。
いつももう少し遅めの午後3時に入って人が少なくなる閉館まで粘ることが多いが、今回は少し早めでたぶん一番人出が多い時間帯なのではなかろうか。
古代エジプトはTV番組の世界不思議発見などで見て若い頃からとても興味ある分野。
たぶん少女漫画の「王家の紋章」が古代エジプト文明へのあこがれのきっかけだと思う。
オシリスとイシスの神話などもとてもロマンチックだし。
だが、ミイラが怖い。
学生最後の年にイギリスでホームステイしたのだが、語学研修の合間に観光にもいろいろ出かけ当然大英博物館にも行くつもりでいたが直前にやっぱり怖くなってパスしてしまった。
その後、ヨーロッパ旅行ができず今日まで至るが、思い出すたびにやっぱり出かけておくべきだったと後悔している。
TV越しならなんとか見られるようになったし、年齢も経たし大丈夫だろう。
今回の展覧会、最初に紹介されるのはロゼッタ・ストーンのレプリカ。
本物は大英博物館にある。
一番上に古代エジプト文字のヒエログリフ、真ん中に当時の話し言葉を文字にしたもの、一番下にギリシャ文字で書かれている。
古代エジプトを説明するのにやはりロゼッタ・ストーンは欠かせないんですな。
このレプリカを見て、やっぱり大英博物館に出かけておくべきだったとまた後悔。
展示の前半はこのような文化に関するもの、レリーフ、ピラミッドの小型版みたいなピラミディオン、すてきな副葬品など展示されている。
最後の方に今回のメインのミイラの展示。
ミイラが納められた棺は立てて展示されておりとても斬新。
棺に手が模られているものがあるが手のひらがグーは男性の、パーは女性のものなんだそう。
修復されているからだと思うが、どれもとてもつややかで色鮮やか。
でもよく見ると、黒っぽいシミも。
音声ガイドによると、当時棺に使われる木材はたいへん貴重なので再利用されることもあったんだそう。
そういえば、世界不思議発見のクイズでミイラは松明代わりに使われたことがあったと紹介されたときはかなり衝撃をうけた。
脱線。
展示されているミイラは状態のよいものばかりでみな布にぐるぐる巻きされているので、ぱっと見ぜんぜん怖くない。
動物のミイラの展示もある。こちらは近寄って鑑賞しても平気。
でも人間のミイラには近づけない。
今回のイチオシはCTスキャンされたミイラ内部の映像。
TV番組だと平気だが、隣に実物があると思うともうダメで最後の方はちゃんと鑑賞できず退出してしまった。
この年齢になってもまだミイラが怖い。
今回久しぶりに美術館に出かけ、感染対策で以前と異なることも何点か気づいた。
まずチケット、休日は日時指定券。平日は日時指定ない平日券。
平日券は若干安かったので会期前に購入しておいたが前売り価格がなくなって開催前に購入しても会期が始まってから購入しても同価格。
無料コインロッカー、以前はコインをお借りする方法だったが、百円の返還式のタイプのコインロッカーが新たに置かれていた。
以前のものは使えないようになっていたので数が少ない。
展示室のソファーによく置かれていた図録が置かれなくなっていた。
記念撮影スポットがなかったのは、かなり残念だったかも。
そうは言っても、以前は想像もできなかった鎖国状態の異常事態の今、こうして海外からやってきた展示物が見られる幸せをかみしめた。
ちなみに愛知展の前に福岡、札幌と巡回予定だったようだが開催中止。
愛知展は開催できてよかった。
この後、静岡、東京、仙台、山口、兵庫を巡回予定とのこと。このまま無事巡回を終えてほしいですな。
常設展も鑑賞してきた。
愛知県美術館の常設展では一部の作品を除いて個人利用の場合、撮影が可能。
まずは愛知県美術館の顔。
クリムト「人生は戦いなり(黄金の騎士)」
8ヶ月ぶりに対面。
愛知県はコロナ禍における文化芸術活動の緊急支援策の一つとして、若手アーティストの現代美術作品を購入して支援したとのことで、ただ今その作品の多く展示されている。
その中で気に入った作品を何点か。
今村文「無題」(2016年)
「あいちトリエンナーレ2016」でも展示されていた作品。
お気に入りの作家さん。
また鑑賞でき幸せ。
収蔵されてよかった。
エンコ―スティック(蜜蝋画)という技法なんだそう。
木村充伯「あ、いぬがいる!」(2004年)
この作品がどこにあるのかわからずキョロキョロ、うろうろしてしまった。
天井近くのかなり上の方に展示されていた。
なんかいたずらにまんまとはめられてしまった気分。
こんな展示はニンマリしてしまう。
木村充伯「先祖は眠る(2匹の猿)」(2015)
先ほどの 「あ、いぬがいる!」と同じ作家さん。
ほんわかした気分になれた。
今後、この作家さんの作品も注目していきたい。
久しぶりに美術館に出かけられてよかった。