ドイツのデュッセルドルフ美術館は、約3500年にわたるガラス制作の歴史をほぼ網羅する、ヨーロッパ随一のコレクションを有しています。同館は1998年にドイツ人実業家であるゲルダ・ケプフ夫人(1919-2006)から第一級のアール・ヌーヴォーのガラス作品群の寄贈を受けました。
19世紀末から20世紀初頭にかけて、フランスを中心に花開いたアール・ヌーヴォー様式は工芸や建築など多岐にわたりましたが、特に硝子は深くその影響を受けました。
ウジェーヌ・ルソー、ウジェーヌ・ミシェルなど、パリのガラス工芸家たちは、ジャポニスムを色濃く反映した作品群を生み出し、ドイツ国境近くのアルザス=ロレーヌ地方・ナンシーで活躍したエミール・ガレは東洋美術に傾倒しながら深い芸術表現の可能性を切り開きました。さらにガレに刺激を受けながら同時代を並走するドーム兄弟や彼らに師事しながら独自の制作活動に挑んだ工房の職人たちの存在も見過ごすことはできません。科学技術の発展も一助となり、こうしたガラスの造形性がかつてないほど引き出された時代の動きを、優れた審美眼と洞察力でケプフ夫人が収集した作品群を通じて知ることができます。
本展では、まとまった形ではドイツの国外初の公開となるケプフ・コレクションから厳選された約140点の作品を通じて、アール・ヌーヴォーのガラス芸術の魅力を紹介します。
~アール・ヌーヴォーのガラス展 ちらし より~
なんでもこのコレクションは日本で初公開。女性の実業家のコレクションということで、興味深い。
印象に残ったものとして、
葛飾北斎の弟子の浮世絵に同じ構図の鯉の絵の写真が参照として展示あり、鯉はそのままガラス工芸に映し出されたように見える。インスパイアか模倣かパクりか。。。とちょっと思ったり。興味深い。
鯉が施されたものは他にも多く、当時の流行だったのか?コレクターの方の好みだったのか?。
なんでも、中国では2匹の鯉は恋人を表すとのことで、アモールの国で愛用されたのかも。
エミール・ガレは独特の中間色のグラデーションが美しく、柔和で印象深いものが多い。
作品名だけ見ても、スイレン・マツムシソウ・アヤメ・マルタンゴンリリー・イヌサフラン・スイカズラ・チョウセンアサガオ・ヒルガオ・オダマキ・ヤグルマギク・アヤメ・フジ・マツヨイグサ等、たくさんの植物がガラスの中にうつしこまれている。
光の強弱により印象が変化する様がわかるような展示が数点あり、ガラス工芸品ならではでとても興味深い。
今後こういった展示方法が増えると良いと思う。
ポスターにも使われている「花器(ブドウとカタツムリ)」(1904年 アンリ・ベルジェ(ナンシー)のデザインに基づく ドーム兄弟、ナンシー)は華やかな色彩が目を引く。2匹のでんでん虫も本物っぽくて面白い。
19世紀末から第一次世界大戦前の華やかなヨーロッパの繁栄を垣間見ることができた気がした。
2015年 9月12日(土)~ 10月18日(日)
次は
「奇想天外の浮世絵師 歌川国芳展」 10月24日(土)~11月23日(月・祝)
他にこんなイベントも。
「放送開始40年 10,000回記念 徹子の部屋展」
南館8階マツザカヤホール 11月3日(火・祝)→17日(火)