まみむめ◎めも

日常のいろいろをメモ。

愛知県美術館「芸術植物園」

 
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愛知県美術館で開催中の展覧会「芸術植物園」を鑑賞してきた。
 
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 眼の前に、名も知らぬ植物が生えているとしましょう。その植物は、食べられるでしょうか?それとも毒をもつ危険なものでしょうか?その植物は、どの季節にどんな花を咲かせるでしょうか?またそれは昔から馴染みのある植物なのでしょうか?そして、この植物の特徴を最もよく伝えられるように絵や図に残すとしたら、どのように描くのがよいでしょうか?

 古来、わたしたち人間は、食物や薬として有益な植物と有毒で危険な植物とを取り違えないように、身近な植物の特徴を調べ、分類し、それを絵や図に残してきました。さらに時代を経て、より広い世界の植物を目にするようになると、この世に存在するあらゆる植物を網羅して、一定の基準に従って整理しようという欲求が生まれます。このような科学的な目線のかたわらで、植物は生命力に満ちた存在として、あるいは季節の移ろいを感じさせる風物として、その時々の芸術のなかに独自の表現を生み出してきました。科学と芸術、植物のこれら二通りの描き方は、時に反発し合い、時に混じり合いながら、お互いの表現をより豊かなものにしてきたのです。

 古代の植物文様から、江戸時代の花鳥画、東西の本草学図譜、近代の植物写真、そして現代美術における植物表現まで、実に多様な、時に現実には存在しない植物までもが、温度と湿度をしっかりと管理した美術館という温室のなかに生い茂っています。“芸術植物”とでも呼ぶべきこれらの植物たちの魅力的な生態を、展示室を散策するようにお楽しみください。

 なお、今村文(1982年愛知県生まれ)、狩野哲郎(1980年宮城県生まれ)、渡辺英司(1961年愛知県生まれ)の三作家が、この展覧会のために制作した新作の展示をおこないます。

【その他の主な出品作家】
 伊藤圭介、岩崎灌園、梅坂鶯里、小茂田青樹、恩地孝四郎エミール・ガレ、北脇昇、菊畑茂久馬、パウル・クレー、柴田是真、島袋道浩、下郷羊雄、鈴木其一、須田悦弘、キキ・スミス、関根正二、田中訥言、ウィリアム・ヘンリー・フォックス・タルボット、ヴォルフガング・ティルマンス、トーマス・デマンド、サイ・トゥオンブリ、中村岳陵、仁阿弥道八、平福百穂藤島武二、カール・ブロスフェルト、堀江正章、三熊思孝、山本梅逸、渡辺崋山   ~愛知県美術館のHPより~
 
 
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印象に残ったものとして、
 
中国古代の「灰陶倉」「緑釉生命樹」(愛知県陶磁美術館 茂木計一郎コレクション)に見入った。植物だけでなく動物も象られており、デフォルメされた姿がとてもかわいい。なんといっても中国後漢時代…1~2世紀のもの。スゴイ。
 
本日TVの鑑定団で特集された猿投窯のものも。展示してあるのは「牡丹文経筒外容器」平安時代後期11世紀(愛知県陶磁美術館)は愛知県指定文化財になっている。
パッと見、古いだけでシンプルな壺っと思ってたが、テレビの解説を見てからは感想が異なってしまう。焼き物は奥深いですな。
 
江戸時代尾張名古屋藩お御用絵師山本梅逸の作品が印象深い。愛知県指定文化財の「四季花鳥図屏風」1847年(名古屋市博物館)もすばらしいが、三幅対の「桜図」(愛知県陶磁美術館)が気に入った。やはり桜の姿を絵に留めたい気持ちに共感する。
 
印象に残った作品がどれも愛知県陶磁美術館所蔵のものだったが、この美術館には一度も出かけたことがないので出かけてみたくなっている。
 
蛮社の獄で処罰されたことで有名な江戸後期の渡辺崋山「牡丹図」1841年(天保4年)(田原市美術館 重要美術品)は田原に蟄居中に描かれ風説の流布の元になり、切腹に繋がったとの解説があり、印象的。
 
今回の企画展の展示品は、植物がテーマなだけに、名古屋市東山植物園所蔵のものも。宮越精之進摺/伊藤圭介識「安喜多富貴印葉図」1882年(明治15年)(名古屋市指定文化財)は葉っぱを拓本のようにして着色し解説を記したもの。
学術的な視点も興味深い。
 
町田市美術館所蔵、ロバート・ジョン・ソーントンの一連の植物画は背後に風景が入り、植物画をあたかも肖像画風に見立ててあり面白い。
 
この展覧会用に新作を発表した三氏の作品はどれも見ごたえがある。
今村文の「暖かい家」は壁一面の大きな作品で、女性らしい感性が好み。
 
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常設展も足早に鑑賞。
最初に藤井達吉コレクションの一部が展示されており、グスタフ・クリムトの「人生は戦いなり(黄金の騎士)」も。
「芸術植物園」にも木村定三コレクションが多く展示されているが、常設展では熊谷守一の若いころから晩年にいたる過程がわかる作品を点数をしぼりつつも数々展示されており画風の変遷も興味深い。
 
 
ロビーの一角には子供向けの無料プログラムのワークショップも。
 
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楽しそう。
 
 
とてもお天気のよい休日の午後、意外と閑散としている美術館内。
ゆったり楽しむことができた。
 
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美術館のひとつ上の展望階より名古屋テレビ塔オアシス21を。
 
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彼岸もすぎ、日没が日に日に早くなっている。
 
 
次の展覧会は「線の美学」
 
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