青森県立美術館で開催してた企画展「奈良美智:The Beginning Place ここから」の関連展示として、奈良美智と棟方志功の作品をあわせて展示されていたのでこちらも鑑賞。
奈良美智と棟方志功のあいだ
青森県出身の美術家・奈良美智は、挑むような目つきの女の子の絵や、ユーモラスでどこか哀しげな犬の立体作品などで、これまで国や世代を超えて多くの人々の心を捉えてきました。奈良は1959(昭和34)年、青森県弘前市に生まれました。奈良が誕生した年からさかのぼること50数年、やはり後に芸術家として活躍する一人の人物が青森市に生まれています。板画家の棟方志功(1903-1975)です。同じ青森という地に生を受け、美術の世界で国際的な評価を得た二人ですが、昭和生まれの奈良と明治生まれの棟方のあいだには、半世紀以上の時代の隔たりがあります。郷土が輩出した偉大な芸術家である棟方志功という名になじみはあったはずですが、若い頃から美術にとらわれず音楽や文学など幅広い同時代の文化に関心を向けてきた奈良にとって、棟方の作品世界は近くて遠い存在だったと言えるかもしれません。
ここではそんな二人の作品をあえて並べて展示しています。共通のモチーフによる接近が際立たせる素材や表現の違いは、その背後にある時代の移り変わりまでも映し出すようです。そして、既存の価値観に縛られることのない自由闊達な二人の表現世界の中には、彼らの突出した個性を育んだ共通の土壌もうっすらと浮かび上がるのではないでしょうか。
『1,2,3,4! It's everything! (Aomori version)』2008 作家蔵 青森県立美術館寄託
棟方志功『没然の自版の像の柵』1968 Y.N.(Self-Portrait)2002
奈良美智『White Riot』1995年 棟方志功『狗仔図』制作年不詳
奈良美智『北のまほろばを行く』2019 作家蔵(青森県立美術館寄託)
棟方志功『青森祢舞多図』1970・『金魚祢舞多図』1970
奈良美智『幽霊人魚』・『幽霊アザラシ』1995
棟方志功といえば、裸体の観音様という印象なのだが、宗教を絡めた女性の裸体は古来古今東西で使われ来ているとはいえ、令和の今の時代は難しいだろう。
奈良美智『Broken Herat Bench(Aomori Versoin)』2008 作家蔵(青森県立美術館寄託)
奈良美智『あおもり犬』2005年
せっかくなので隣接する三内丸山遺跡も。