まみむめ◎めも

日常のいろいろをメモ。

国立西洋美術館「ハプスブルク展−600年にわたる帝国コレクションの歴史」

皇居の大嘗宮一般参観後、上野公園へ移動し、国立西洋美術館で開催中の展覧会「日本ーオーストリア友好150周年記念 ハプスブルク展−600年にわたる帝国コレクションの歴史」を鑑賞してきた。

 

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東京都台東区上野恩賜公園内にある国立西洋美術館

来館は3年半ぶり。

 

ma-mimume.hatenablog.com

 

新幹線を利用すれば日帰りできるが、なかなか簡単には来られない。

金曜日は夜間8時迄延長なのでゆっくりめの来館でも安心。

 

オーギュスト・ロダンカレーの市民」 

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前回出かけたときに、学芸員さんからこの「カレーの市民」の鑑賞は正午ごろが一番よいと伺っていたが、果たせず。またの機会に。

日が傾いていることもあり、お庭の彫刻の鑑賞はスルーする。

 

午後4時前、チケット売り場には若干の行列がある。

上野駅構内にあるチケットセンターで当日券(一般1,700円)を購入しておいたのですんなり。

 

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看板は

マリー・ルイーズ・エリザベト・ヴィジェ=ルブラン「フランス王妃マリー・アントワネット(1755-1793)の肖像」1778年 ウィーン美術史美術館蔵 (部分)

 

13世紀後半にオーストリアに進出後、同地を拠点に勢力を拡大し、広大な帝国を築き上げたハプスブルク家。15世紀以降は神聖ローマ皇帝の位を独占し、同家がオーストリア系とスペイン系に系統分化した16-17世紀には、後者がアジアやアフリカ、南アメリカにも領土を有したことにより、まさに「日の沈むことのない帝国」となります。ナポレオン戦争を引き金とした神聖ローマ帝国の解体後は、オーストリア帝国(1867年にオーストリアハンガリー二重帝国に改組、~1918年)を統治しました。数世紀にわたって広大な領土と多様な民族を支配し続けた同家は、まさに欧州随一の名門と言えるでしょう。

ハプスブルク家の人々はまた、豊かな財とネットワークを生かして、質量ともに世界屈指のコレクションを築いたことでも知られます。このうちオーストリアを拠点とし続けた同家本流による収集品の主要部分は、オーストリアハンガリー二重帝国「最後の皇帝」ことフランツ・ヨーゼフ1世肝煎りで1891年に開館したウィーン美術史美術館の礎となりました。オーストリアと日本の国交樹立150周年を記念する本展では、同館の協力のもと、絵画、版画、工芸品、タペストリー、武具など100点、5章7 セクションによって、そのコレクションをご紹介します。個性豊かなハプスブルク家の人々や、当時の宮廷生活の紹介も行いつつ、時代ごとに収集の特色やコレクションに向けられたまなざしのあり方を浮き彫りにしていきます。数世紀にわたってヨーロッパの中心に君臨した、帝室ならではの華麗なるコレクションの世界をご堪能いただければ幸いです。  ~国立西洋美術館のHPより~

 

 

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看板の左から

マルティン・ファン・メイテンス(子)「皇妃マリア・テレジア(1717-1780)の肖像」1745-50年頃 ウィーン美術史美術館

ルカス・クラーナハ(父)「サムスンタペストリーのある馬上試合(第二トーナメント)1509年 国立西洋美術館

エントリス(アンドレアス)・デーゲン2世「ほら貝の水差し」1580年頃 ウィーン美術史美術館

ヤーコプ・ザイゼネッガー「オーストリア大公フェルディナンド2世(1529-1599)の肖像」1548 ウィーン美術史美術館蔵

カストルッチ工房「橋の上にオベリスクのある風景」プラハ 1605-15年頃 ウィーン美術史美術館蔵

コルネーリス・デ・へーム「朝食図」1660-69年 ウィーン美術史美術館蔵

作者不詳「シャーベット用センターピース」ウィーン、1736-40年 ウィーン美術史美術館蔵

ヨーゼフ・ホラチェク「薄い青のドレスの皇妃エリザベト(1831-1898)」1858年 ウィーン美術史美術館蔵

すべて部分。 

 

 

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看板は

ベルンハルト・ショトリーゲルとその工房、あるいは工房作「ローマ王としてのマクシミリアン1世(1459-1519)」1507-08年頃 ウィーン美術史美術館

 

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音声ガイド(550円)は元宝塚の花總まりさんと声優の梅原裕一郎さん。

 

最初の部屋には看板にもある「ローマ王としてのマクシミリアン1世」の肖像画

「中世最後の騎士」。武勇に秀で、生涯に27の戦を闘った。語学に際を発揮し、芸術の愛好家でもあった。 ~ちらしより~

次の部屋が特に印象的。

左側の壁一面に大きなタペストリー2枚がかかり、中央に甲冑が4体、右側の壁に肖像画などの絵画、前後の壁に工芸品が配置されている。

タペストリーと甲冑が、中世のお城の雰囲気を漂わせていて引き込まれる。

中世の甲冑を拝見するのは初めてかも。前後左右から鑑賞できるようになっており、たいへん興味深い。

展覧会会場前の看板にも採用されている「オーストリア大公フェルディナンド2世の肖像」がイケメンだなとヨコシマな感想。

 

アルブレヒト・デューラー(1471-1528)の作品が4点。 

マクシミリアン1世の長男のルドルフ2世のコレクション。

統治者としてのセンスは皆無、しかし学問や芸術への造詣の深さはぬきんでていた「変人」。ヨーロッパ史上おける貴台の芸術愛好家、コレクター。~ちらしより~

統治者としてのセンス皆無が死後の「三十年戦争」の一因になったよう。

この時代ヨーロッパはどこもかしこも宗教の対立。現実逃避して芸術に逃げ込みたくなるのもわかる気がする。

 

 

ディエゴ・ベラスケス(1599-1660)の作品が4点。

「青いドレスの王女マルガリータテレサ(1651-1673)」1659 ウィーン美術史美術館蔵

幼い頃からウィーンの宮廷に嫁ぐことが決まっていたスペイン王女。この作品は許嫁に彼女の成長ぶりを伝えるべく描かれたもの。 ~ちらしより~

看板にもなっているが特に目を惹く。

ベラスケスの作品をちゃんと鑑賞するのは初めてかも。

近寄って見ると点々としたタッチだが離れてみるととても写実的。すばらしい。

他の3作品。

「宿屋のふたりの男と少女」1618-19頃 ブタペスト国立西洋美術館

スペイン王フェリペ4世(1605-1665)の肖像」1631-32 ウィーン美術史美術館蔵

スペイン王妃イサベル(1602-1644)の肖像画」1631-32 同蔵

ベラスケスを宮廷画家に採用したスペイン王フェリペ4世はマルガリータテレサのお父さんだが、スペイン王妃イサベルはマルガリータテレサのお母さんではなく、王の先妻さんなんですな。

ヤン・トマス「神聖ローマ皇帝オポルト1世(1640-1705)と皇妃マルガリータテレサ(1651-1673)の宮中晩餐会」1666 ウィーン美術史美術館蔵

当時の豪華な婚礼の様子がわかり興味深い。

マルガリータテレサ神聖ローマ皇帝オポルト1世に15歳で結婚し、6回懐妊、出産後21歳で亡くなっているんだそう。

同時にハプスブルク家内の近親結婚ってスゴイ。

脱線してしまうので割愛するが、「スペイン継承戦争」に繋がっていく不幸はなんともいえないですな。

 

オポルト・ヴィルヘルム(1614-1662)のコレクションの中で印象深かったものとして、 

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ヴィロネーゼ「ホロフェルネスの首を持つユディト」1580年頃 ウィーン美術史美術館蔵

先日、名古屋市美術館で開催中の「カラヴァッジョ展」で「ホロフェルネスの首を斬るユーディット」(1598-99 ローマ 国立古典絵画蔵)の映像(実物ではない)が印象的だったのだが、このユディトというのは当時とても人気のテーマだったんですな。

 

ヤン・ブリューゲル(父)およびハンス・ロッテンハマー「エジプト逃避途中の休息」1595年 ウィーン美術史美術館蔵

以前、豊田市美術館で鑑賞した「ブリューゲルス展」にも同様のモチーフがあった気がする。 

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ヤン・ブリューゲル(父)「堕罪の場面のある楽園の風景」1612-13 ブタペスト国立西洋博物館蔵

こちらもブリューゲル(父)らしい幻想的な作品。

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他にティツィアーノレンブラントなど、有名どころ。さすがのコレクション。

 

最後から2つめの部屋に大好物の「ベルサイユのばら」に登場するマリー・アントワネットマリア・テレジア肖像画

オーストリアの画家「神聖ローマ皇帝カール6世(1685-1740)の肖像」1720-30頃 ウィーン美術史美術館蔵

マルティン・ファン・メイテンス(子)「皇妃マリア・テレジア(1717-1765)の肖像」1745-50頃 ウィーン美術史美術館蔵

アントン・ファン・マロン「マルスの彫像を伴う神聖ローマ皇帝ヨーゼフ2世(1741-1790~の肖像」1775  ウィーン美術史美術館蔵

マリー・ルイーズ・エリザベト・ヴィジェ=ルブラン「フランス王妃マリー・アントワネット(1755-1793)1778 ウィーン美術史美術館蔵

ルブランはもうほんとうにかわいいを知り尽くしていると思う。

国立西洋美術館蔵の肖像画が細工された指輪3点もたいへん興味深い。

脱線するが、先日放映されたNHKのドキュランドへようこそ「マリーアントワネット 秘密のベルサイユ」ではマリア・テレジアの命を受けマリー・アントワネットの兄のヨーゼフ2世が子に恵まれぬ夫婦の寝所のアドバイスをする場面があった。なかなかに具体的で興味深かった。

 

最後の部屋には

アンドレア・アッピアーニの工房「イタリア王としてのナポレオン・ボナパルト(1769-1821)」1805頃 ウィーン美術史美術館

ヴィクトワール・シュタウファー「オーストリアハンガリー二重帝国皇帝フランツ・ヨーゼフ1世(1830-1916)の肖像」1916頃 ウィーン美術史美術館蔵

ヨーゼフ・ホラチェク「薄い青のドレスの皇妃エリザベト(1837-1898)」1858 ウィーン美術史美術館蔵

そうそう、ナポレオンもハプスブルク家の姻族でしたな。

皇妃エリザベトはさすがの美貌とスタイル。

最晩年のヨーゼフ1世の肖像画がこのハプスブルク展を最後を飾り大帝国の終焉と相まって感慨深い。

 

この「ハプスブルク展−600年にわたる帝国コレクションの歴史」は地方巡回しないとのこと。

 

ずっしり重い図録(2,800円)も購入してきたことだし、しっかり勉強しようと思う。

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この図録は通販もあるよう。

 

図録以外にもつい。

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ポストカード154円×4。バンダナ1,980円

イラストレーター 長場雄 描き下ろし
ハプスブルク家の王族8人がスタイリッシュな線画になりました。
グッズプロデュース:TOKYO CULTUART by BEAMS

 

この後、常設展も観賞してきた。記事は後ほど。